3年くらい前の、ドイツ観光局のパンフ。
当時、もらったまま、あまりちゃんと読んでなかったみたい。
最近、部屋を片付けてたら出てきたので、
パラパラとめくってみたら… えーっ・・・・
クリックすると拡大されるので、読んでみてください。
3分の1くらいのページが、こんな調子です…
世田谷の普通の一軒家。母親と2人暮らしの真希。
毎日、自宅でひとり黙々と、手間のかかる銅版画を作っている。
時々、版画教室で、子供たちに版画を教えている。
ある日、真希の乗った車がトラックに正面衝突される。
・・・次の瞬間、真希は、自宅の居間で寝ている自分に気付く。
昨日図書館に返したはずの本を抱えて。
「わたし、生きてる・・・」
ドアを開けるとスライスチーズが1枚落ちてくる、家の冷蔵庫。
本を返しに行った図書館、懸賞ハガキを投函したポスト。
何もかも、昨日と変わらない。
というより、全てが昨日起きたことの繰り返し。
翌日になると、また自分が本を抱えて寝ているところから始まる。
唯一、今までと違っているのが、
自分以外に、世界に誰も人がいないこと・・・。
テレビが映らない、誰にも電話が通じない。
戸惑いや寂しさに襲われながらも、
独りきりの世界で、普段通り生きていこうとする真希。
時には、誰もいない街へ出かけ、
ドレスを買い、着替えて歩いてみる。
でも、無人のレジに代金は置いていく。
そんな、真面目で清廉な真希の描写は、
後半に起こる大きな展開の伏線にもなっている。
“究極の独り暮らし”173日目、
真希の家の電話のベルが鳴る!
必死に状況を説明して、電話を切らないように頼む真希。
その相手との不思議な交流から、少しずつ真希の“今日”が変わり始める・・・。
『ターン』という映画。北村薫さんの小説を映画化した、10年前の作品。
いつ買ったかは忘れてしまったのですが、
手に入れたいと思った理由は、
音楽が、私の心の師匠(笑)ミッキー吉野さんだから。
ほとんど無音で、画面には真希ひとり。
ものっすごい地味な映画なんですが、電話の相手が出てきてからは、
ファンタジックな展開になっていきます。
(ここぞという時に流れるテーマ曲が良いんですよ〜♪)
真希を演じる牧瀬里穂さんは、
ショートカットで、スレンダーで、声もかわいらしい。
作品のメインビジュアルは何やらサスペンスっぽいですが、
観ているときや観終わった後の爽やかさは、
少女が主人公のジブリのアニメに近いかも。
ここから、自分の話。
今年3月までの、映画のお手伝いの日々は、
毎日が、お祭りのようであり、
ジェットコースターに乗ってるようでもありました。
1日1日が、二度と味わえない、かけがえのない日々。
でも、そんなお手伝いも、特に最初の数年は、
毎日ほとんどひとりきりの仕事部屋で過ごしていました。
きっと、ほんとのほんとに独りきりなら耐えられなかった。
173日目の電話のような、出来事や出会いを下さった方たちと一緒に、
ここまで来られたんだと思います。(ありがとうございます。)
お手伝いが終わった直後の、震災。
家族のこと、大切な人たちのこと。働くこと、暮らすこと。
いろんな考えや充電計画は、一旦止まり、そして一気に動きました。
正直言うと、充電しようにも、もうバッテリーなかったし(汗)。
新しい仕事を始めて、2カ月。
“新しい、変わらない毎日”が、今の私にとっては、すごく新鮮。
そして、そんな毎日が送れることのありがたさと幸せを思います。
明日になったら全て元に戻ってしまう今日を過ごす真希が、
一晩で版画を仕上げ、ひとり満足げにつぶやく。
「1日限りの最高傑作」。
久々に観返してみて、良かった。
電話の向こうの相手に、真希がこんなことを言う。
とても好きな台詞です。
「たとえ同じ今日の繰り返しでも、
やりたいことができると、ちゃんと明日になる。すごい発見です。」