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あの前日に観た、東北発の映画。『エクレール・お菓子放浪記』

大地震から10日経ちました。

ご飯を作って食べたり、音楽を楽しんだり、
映画を観たり、友達と待ち合わせをして会ったり。
そんなことが普通にできる日々のありがたさを、
あらためて感じています。

地震が起きてからの、自分の周りの人たち、大切な人たち、
自分が一方的に知っているだけの人も含めて
普段から自分が好きでいる人たちの、取る行動や発する言葉、
教えてくれる情報は、温かくて、的確で、
よく調べもしないのに平気で上から目線だったり
不信や不安を煽るだけの言葉に負けないで
いち早くネットで伝わって、多くの人を動かしているのが、
嬉しいな、いいぞ、って思うことが多い日々でもあります。

もちろんそんなことは
自分がたまたま無事だったから言える呑気な思いです。

被害の大きかった地域の知人、
東北に家族がいる友達の話も、身の回りにいくつもあって、
言葉で書いてしまうと軽々しくなってしまうけれど・・・
とても心を痛めています。

そのうちの、大きなひとつ。
地震の前日の3月10日、
エクレール・お菓子放浪記』 という映画を観ました。

マイレオニーで一緒にお仕事をしたマサコさんが
現在携わっていて、完成披露試写会に誘ってくださいました。

舞台は、太平洋戦争下の日本。
主人公は、感化院(少年院)で暮らす天涯孤独の少年アキオ。
万引きをして捕まったときに、刑事がくれた菓子パン。
感化院の教員・陽子の歌う「お菓子と娘」という歌…。
アキオに訪れる様々な出会いと別れの中にはいつも
「お菓子の持っている不思議な力」があって、
それが「人の心のやさしさ」を運んでくる…。

監督が『ふみ子の海』の近藤明男さんで、
戦時中にお菓子を夢見て生きる孤児の話、と聞いて
うわ〜、またハンカチ必携の映画かなぁと思ったのですが、

(『ふみ子の海』は、とっても感動作なんですが
『おしん』の子供時代をさらに厳しくしたような物語なので…)

『エクレール』は見事に予想を裏切られました。とにかく明るいんですよ。

主演のアキオ役の吉井一肇くんはミュージカルで活躍している子役で、
あまりに健気な熱演と、ピュアなボーイソプラノの歌声に
感動を通り越し「ずるい」と思ってしまいました(笑)。

アキオを取り巻く戦中戦後の物語は、かなり過酷なものなのですが、
脇を固める、いしだあゆみさん、林隆三さんはじめベテランの役者さんの
しっかりした演技と、全体を通してのテンポの早さで、
笑って、泣いて、をコロコロ繰り返してるうちに、
一気にラストのクライマックス、そして大ハッピーエンドへと進みます。

アキオが仲間入りする旅芸人一座の劇中劇や、のど自慢大会など、
かなり“ベタ”に盛り上げようとするシーンも多く、
全体的に、お芝居チックな台詞回しや演出も多いんです。

というのは、この映画は、「映画館のない町」で上映されることを
前提として作られているから。

「シネコンが増えすぎて、どこでどの映画を観たらいいのかわからない」
なんて言っているのは、ほんとうに一部の大都市だけで、
地方の映画館は続々と閉館しています。
『エクレール』公式サイト中の説明によると、
今、日本の市町村の90%には、映画館が1館も無いそうです。

文化や娯楽を求める地域の人々に、上映運動を起こしてもらい、
地元のホールや公民館で上映してもらうための仕掛けを考えているそう。

その運動の中心になっているのが、仙台、石巻を中心とした東北の皆さん。
映画の撮影も、宮城・福島の町で行われました。
エキストラや炊き出しで、地元の方々が多数参加したそうです。

いつもは静かな町の皆さんが1か所に集まって、1日きりの映画上映会。
地域の皆さんが、椅子を並べたりチケットをもぎったりポスターを貼ったり、
そして集まったおじいちゃんやおばあちゃん、子どもたち、
皆さんが、泣いて笑って歌って、感想を語り合って…。
そんな光景が目に浮かぶ、ほんとうにハッピーな作品なのです。
・・・それなのに!
映画に携わった皆さんの、今の気持ちを思うといたたまれなくなります。

映画館全体が営業時間短縮やイベント中止を余儀なくされている現状、
『エクレール』が、予定通りに上映されるかどうかは
まだ私には分かりません。

正直、私も、この映画の感想を、今ここに書くべきかどうかは
迷ったのですが、少なくとも映画が完成し、完成披露試写会が行われ、
たくさん笑いちょっと泣き、楽し〜い時間を過ごしたことは事実なので、
あまり日を置かないうちに残しておきたいなぁと思いました。

今のところ東京では、5月21日(土)よりテアトル新宿で上映予定です。

完成披露試写会の舞台挨拶で、この物語の原作者、西村滋さんが
スピーチをされて、こんなかんじのことを話されました。

「この映画を観た若い世代の人々に言われました。
“昔の人は、モノのない時代があったぶん、夢を見ることができたと思う。
今の私たちは、モノはあるけれど夢がない。
モノのなかった時代がうらやましい”と。
お菓子を食べることができないから死んでしまう、という人はいないけれど、
お菓子が運んでくれる幸せは、人に欠かせないもの。
当たり前に身近にお菓子があることの幸せを感じてほしい、
あることが当たり前、とは思わないでほしい。」

“お菓子”は、“夢”に置き換えることもできるし、
“映画”にも置き換えられるなぁと思います。

よりによってその翌日に、起きてしまった災害。
犠牲はあまりにも大きすぎるけれど、
西村さんにそんなことを言った若者も、
今ならその意味がわかるかもしれない。
もちろん、私も。(←若者ではないですが…)

映画の中のアキオ同様、この映画に携わった皆さんが
厳しい現実をきっと乗り越えて行けますように。
そして、この映画のホームグラウンドの皆さんが、
いつか必ず地元で、この映画を楽しめる日が来ますように。


【追記】その後、東京以西は、予定通り公開を進めていくことが
決まりました!全国上映を目指して頑張れ!


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    コメント
    from: みりみり   2011/04/10 11:14 AM
    >shioriさん、marieさん

    お返事遅くなってすみません。
    この映画、その後、東京以西は
    予定通り上映をすすめることが決まったそうです。
    marieさんは出演もされたのですね!
    この映画づくりにたずさわられた東北の皆さんが
    今どんなつらい状況にあるか、私にも
    想像もつきませんが、
    とにかく、あの震災の、翌日でも当日でもなく
    前日に完成試写会が行われたということは、
    何かきっと意味があるのだと思います。
    観ると確実に元気がわいてくる作品ですし、
    多くの人に観てもらいたいなぁと思っています。
    from: shiori   2011/03/30 8:36 PM
    この映画、絶対観たい!と思いました。
    教えてくださってありがとうございます☆
    from: marie   2011/03/28 10:09 AM
    映画のことをお書き下さいましてありがとうございました。何だか、いいたいことをするりと書いて下さった気がします。お世話になった石巻や登米、富谷、仙台など宮城、福島県白河と大地震と津波で甚大なる被害を受けた皆さんが、支えて下さって出来た映画。出演者の一人としても、心が痛いといったら軽いようですが、本当に言葉にならないくらいショック。しかしこうして変わりない生活ができていることがありがたく思います。東京での上映は予定通りです。本当は映画本来のおもしろさを観て頂けるのが嬉しいのですが、それとはまた違う、震災前の風景を、人を写した、何か言葉ではいえないものを背負った映画になってしまった気がします。ある石巻の方が「避難所でいいから映画がみれないかな」という声もありました。それどころでない現実ですが、でも映画がどこかで希望であり、人と気のやすらぎと楽しみである、そんな気持ちを感じました。でも様々なかたがいますから、実現するまでは時間がかかります。映画というのが平和であるから見えるのだなとも思いました。
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